(前回はこちら)
やっと真鍮ベースができあがったので、SKHP-03X 基板をのせてエポキシ樹脂を充填しました。基板には銅線の裏打ちもしています。裏打ちは、劇的な変化をもたらしませんが、せっかく作るのですから、少しでも音を良くしたいですね。
真鍮ベースに基板を載せて固定し、周囲にマスキングテープを貼ります。きっちりと貼らないと、樹脂が漏れ出します。
基板にはΦ4.1 の穴を2個空けています。そこから10 ml のシリンジを使って、エポキシ樹脂を流し込みます。シリンジは、サイド穴タイプです。基板を傾けて、エアを追い出すように流し込みます。エポキシ樹脂は、粘性の低いタイプです。接着剤では粘性が高すぎて流し込めません。主材と硬化剤の重量を正確に計って混合します。こぼしたり飛び散ったりすると汚れますので、段ボールの上にティッシュを敷いて、真鍮ベースを載せます。
穴の縁まで樹脂を流し込みますが、基板を押すとエポキシの水位が変化します。つまり、基板はそれだけ柔らかい。これが固まると、基板を真鍮ベースに密着させた状態となります。
真鍮ベースは、20 mm 厚の真鍮板です。ここを 2 mm 削って樹脂を流し込む“バスタブ”を作っています。流し込む樹脂は基板と同じエポキシ、つまり、実質 3.6 mm 厚のエポキシ基板に 18 mm 厚の真鍮板を接着した状態となります。しかも充填されたエポキシ樹脂の周囲は、真鍮の壁に囲まれています。ですから、この部分に力が加わっても、バスタブに阻まれて変形しません。あるいは、ヤング率(応力に対する変形の割合。板を曲げようとして力を加えたときにどれだけ曲がるか)は、実質的に真鍮板と同じとなります。したがって基板のヤング率も真鍮板とほぼ同じ!
バッテリー駆動パワーアンプに使う6枚の基板にエポキシを充填しました。硬化時間は 24 h at 25℃ です。固まるのが待ち遠しい。
エポキシ樹脂が固まると、上からパーツを指で押さえたときに“押し込まれる”感覚が消えます。つまり、それだけ基板は固くなっています。ヒートシンクとしても働くデッドマスを IC に接着するのですが、基板だけだとフニャっとした感触があります。これが、エポキシ樹脂の固まった真鍮基板では、ガッチリと支えている感じとなります。
試聴はこれからです。これまでにも真鍮基板を製作(パワーアンプ、EVR)しましたが、細かな音をよりハッキリと聞かせてくれるようになります。まったく同じトーンバランスなのに、周囲雑音が下がったかのように音場が静かに感じられます。それによって、聞こえていなかった細部が耳前に現れます。
楽しみです。