top of page

失敗に学ぶ(ことに失敗した)

更新日:2022年1月17日



偉そうに「失敗に学べ」と教えているくせに、自分自身がやらかしました。その顛末です。


まずは、EVR-323のレギュレータ基板(こちらのブログ)。不安定動作があったのですが、半年くらい聞いていたのに、わかりませんでした。不覚でした。


言い訳しますと、ゲインをプラスに設定しなければ、ノイズは聞こえません。聞こえないのですから、電源電圧波形を子細に観察することもありません。あとになってみれば、ノイズの原因であった不規則振動はオシロスコープで観測できました。でも、音に聞こえないのですから、疑ってかかりません。


EVR-323を発表する以前に、最終バージョンの基板で2台のアンプを作りました。EVR-323を用いた標準機とEVR-320を用いた入門用です。ところが、標準機はプラス・ゲインを設定していません。そして、入門機はプラス・ゲインとしましたが、レギュレータは問題となったアドバンスト・タイプではなくノーマル・タイプでした。


いずれも、ノイズは聞こえません。このため、“見落とし”てしまいました。


発覚したのは3台目のヘッドホン・ドライバ製作の途上です。このアンプはハムノイズに苦しめられました。わずかのノイズでしたが、聞こえると不快です。けれども、わずかですので、オシロスコープでは残留ノイズに埋もれて観測されません。ですので、ヘッドホンで、耳だけを頼りに対策と判定を繰り返しました。


その最中に、レベルを+6 dBくらいに上げると“ザーっ”と聞こえることに気づきました。“低域成分のないホワイトノイズ”といった感じの音です。


気づいた瞬間、いや~な感じが・・・。発生箇所を探るとアドバンスト・レギュレータ。シャント・レギュレータ (NJD7400) のアノード・カソード(A・K)間を、0.22μF にしたことが原因でした。



431シャント・レギュレータのデータシートには、A・K間の容量と不安定動作のことは記されています。これをやると、ふつうは派手に発振します。ところが偶然にも、リファレンス端子側に加えた X363 が作用して、派手な発振ではなくて不規則振動となっていました(リファレンス側のCを外すと派手に発振しました。こちらのブログに波形を示しています)。うかつでした。


0.22μF を 68μF にして、対策完了です。ですけど、出荷開始後のリコールとなりました。かなりの出費となりました(涙)


対策完了品


 

もう一つは、シャント・レギュレータ SKVL-5でした。この基板、当初は電圧リミッタとして開発を始めました。ここでは、NJM7400 のA・K間はシャント・トランジスタのベース・コレクタ間につながります。トランジスタのBC間接合容量は10 pFのオーダーです。ICの発振危険範囲より3桁下の値です。データシート上は問題ないはずです。応用回路例にも載っている回路です。もちろん、ノイズも聞こえません。


電圧リミッタ回路



EVRのアドバンスト・レギュレータの失敗がわかったあとも、データシートを確認した上でノイズが聞こえないからと、試作を続けていました。その後、電圧リミッタをシャント・レギュレータにもできるようにと考えました。回路図上は2本の抵抗(R9とR10)を追加するだけです。


シャント・レギュレータ回路



当初は、電圧リミッタ基板 ver 1.0 をシャントレギュレータに改造して試しました。もちろん、ノイズは聞こえません。ところが、シャント・レギュレータ基板 ver 2.0 を作ったところ、“シャーっ”。えっ!また!!


EVRのアドバンスト・レギュレータと同じく、キャパシタ(C3とC4)を追加すれば発振は止まります。ですけど、ver 1.0 のシャントレギュレータ改造基板をもう一度試聴しても、ノイズは聞こえません。でも、もしや・・・。


後列:左から ver 1.0、ver 1.0 のシャントレギュレータ接続、ver 2.0

前列:ver 3.0



よくよく観測すれば、改造基板にも不規則変動がありました・・・。なぜ、こちらはノイズが聞こえず、作り直した基板では聞こえたのかは不明です。でも、変動があることはたしかです。またもや、“見落とし”でした。基板は、再度の作り直しです。


というわけで、シャント・レギュレータ基板 SKVL_5 は、いきなりの ver 3.0 で登場です。そういえば、Windows も3番台からでしたね。


シャント・レギュレータ SKVL-5



ただし、こちらの失敗には、拾いものがありました。大きな容量を入れたことで、431シャント・レギュレータのノイズを減らします。音も,わずかにスッキリしたような感じです。シャント・レギュレータらしい、くっきりとした、彫りの深い音像を聞かせてくれます。


以上、教訓です。

失敗は、聞いてるだけではわからない


もう三度と失敗はしません。仮に失敗しても、黙っています(笑)


お粗末 m(. .)m



©2020-2024 by T.B.Sound

bottom of page