MUSES 05 を使ったヘッドホンドライバその後です。やっと完成した!と思ったのですが、想定外のノイズが・・・。
そのノイズがいやらしい。ハムノイズのように「ブーン」と鳴り続けるのではなく、でたりひっこんだり。それも、表示用LEDの点滅に同期して「ジージー」と聞こえたり消えたり、など変化します。
過去にもデジタルノイズに影響された経験はありますが、それらは連続的でした。プログラム動作によって変化するなんて、ちょっと考えられない。う~ん。難解です。
でも、ノイズは退治しなければ。
発生メカニズムは不明ですが、同じくバッテリードライブとしたパラレルワールド7にノイズはありません。なら、違うところはどこか。
MUSE 05 アンプには、MUSES 72323 電子ボリューム IC を搭載しています(パラレルワールド7には EVR は搭載していない)。MUSES 72323 は、アナログ系の±電源(±Vcc)とデジタル系の電源(+VDD)を必要とします。双方の GND は、接続しなければなりません。また、MUSES 72323 のコントロール用として、PIC マイコンを使用しています。バッテリー充電コントロールにも、他の PIC マイコンを用います。
充電コントロール PIC の GNDも、構成上、アナログ系と共通にしなければなりません。であるのなら、この PIC でそれぞれのバッテリー電圧を A/D 可能です。-Vcc は、オペアンプで反転させてプラスの電圧にすれば PIC で A/D できます。以上のように考えた「もともとのGND と電源の構成」を図1に示します。
図1 もともとの GND と電源の構成
この「もともとの構成」のどこがマズいのか。それを考えるために、マズい「もともとの構成」と問題のない「パラレルワールド7」との違う点は、
充電コントロール PIC とアナログ系の GND を共通
バッテリーの電圧を PIC マイコンで監視
です。
まず 1. ですが、アナログ系 GND と共通となるのは MUSES 72323 コントロール PIC も同じです。ですから、これは問題とはならないでしょう。
次に 2. です。あらためて回路図をみると、充電コントローラ基板に入っているアナログの ±Vcc が、やけに複雑です。「100 kΩ以上の抵抗で分圧して PIC マイコンに接続しているからアナログ電源への影響はないだろう」と考えたのですが、やはり、ここもアナログラインです。この発想がマズかったようです。
そこで、電圧チェック回路を図2の構成としました。それぞれのバッテリーに電圧チェック基板を載せます。電圧チェック基板には基準電源とコンパレータを載せて、バッテリーの最低電圧/フル充電電圧を検出します。検出信号は、フォトカプラを通して充電コントローラ基板へと送ります。充電コントロール PIC とアナログ系の GND は共通のままですが、それは、MUSES 72323 コントロール PIC も同じです。
図2 電圧チェック基板を用いた構成
図3は、電圧チェック基板をバッテリーに載せたところです。充電コントローラ基板とは、8芯のフラットケーブルで接続しています。ケーブルはつながっていますが、電気的にはフローティングです。
図3 バッテリーに載せた充電チェック基板
電圧チェック基板には、充電回路も載せています。図4に構成を示します。それぞれの電圧チェック基板に載せた DC-DC コンバータは、フローティングタイプです。これによって、1個の AC アダプタで3系統のバッテリーを充 電します。
図4 充電回路の構成
充電の ON/OFF は充電コントローラ基板側でコントロールします。ここで、AC アダプタからのラインは両方にフォトスイッチを使用します。もちろん、片側でも充電の ON/OFF はできます。ところが、ラインを切っても AC アダプタは ON のままです。これでは、つながった側のラインからノイズが混入します。そして、音にかなり影響します。細やかな音を聞かせてくれる MUSES 05 を、金属質の固い音にしてしまいます。
図5に充電コントローラ基板を示します。中央の3個のフラットコネクタに、充電チェック基板からのフラットケーブルを接続します。それぞれの左側のフォトカプラで、個別に充電を ON/OFF します。
図5 充電コントローラ基板
基板を作り直して、やっと、組み直しました(図6)。さて、ノイズは・・・。
図6 やっと組み直した・・・
(その7につづく)