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Toshiyuki Beppu

MUSES 05 を使うぞ! その7 -やっと完成した-

更新日:8月19日



 やっと、やっと、やっとのことで、MUSES 72323 と MUSES 05 を載せたヘッドホン・ドライバが完成しました。長かった・・・。その1から10ヶ月。こんなに時間を要するとは・・・。


 さて、今回の教訓は、

  • 電源に余計なモノをつなぐと音は悪くなる

この1点です。わかっていたつもりでしたが、やらかしてしまいました。


 その6で示した図を再掲します。充放電コントロールのために PIC でバッテリー電圧を測りました。これが敗因となりました。幸いなことに、ノイズが発生したので作り直しできましたが、ノイズがなければ「こんなものだ」とそのままになっていたでしょう。

 白状すれば、この状態では「せっかくバッテリーにしたのに、電源トランス構成よりも痩せたギスギスした音だなあ」と感じていました。


図 失敗であった元々の充電コントローラ基板構成


 バッテリーには、パラレルに 15,000μF の KMH を接続しているのですが、それでも、余計なモノをつなぐと影響があるようです。ただ、この場合は、接続したことが悪かったのではなく、デジタル系の GND 電流の変化がアナログ系電源に影響したことが原因と考えています。なぜなら、作り直した電圧チェック基板も、バッテリーに接続している点では同じだからです。

 失敗であった元々の構成では、アナログ電圧 ±Vcc は抵抗で分圧して(マイナス側はオペアンプで反転してから)PIC で A/D していました。したがって、±Vcc は分圧抵抗を介して充電コントローラ基板のデジタル GND に接続されます。このデジタル系 GND への電流は、PIC の動作によって変化します。分圧抵抗は 200 kΩ以上ありましたが、それでも、GND 電流の変化が ±Vcc に影響したと考えます。


 作り直した電圧チェック基板では、コンパレータによってバッテリー電圧を監視します。図では省略していますが、ここにはデュアルのコンパレータを搭載しています。コンパレータはバッテリーによって動作し、ひとつはバッテリー電圧が上限を超えたとき、もうひとつは下限を下回ったときにフォトカプラを ON します。また、電圧チェック回路はバッテリーを消費しますから、フォトスイッチによって切り離せるようにしています。どちらの入出力も光によって絶縁しています。


図 作り直した電圧チェック基板の構成


 電圧チェック基板ではバッテリーの電流を消費しますが、外部との電流の出入りはありません。ですから、GND にも ±Vcc にも影響を及ぼしません。電圧チェック基板をバッテリーにつないで/外して、試聴しましたが、音に変化は感じません。


 方針が決まって、

  • 失敗であった元々の充電コントローラ基板を取り外し、

  • 元々のシャーシ(下の写真)では、バッテリーの上に電圧チェック基板を載せる空間がなかったためにシャーシを作り直して、


図 元々のシャーシに載せられたバッテリー


  • バッテリーを 3 mm 下げるためにシャーシを作り直したら、アンプ基板も下がったのでデッドマスを削り直して、

  • 作った電圧チェック基板は、バッテリーをシャーシに固定するキャップスクリューと干渉して取り付けられなかったので、もう一回作り(二度も作ってくれた I さん、ありがとう)、

  • バッテリー固定用のジュラコン製バーを作り直して、


図 作り直したシャーシに載せられたバッテリーと電圧チェック基板


  • リモコンで電源 ON/OFF をできるようにするため、EVR balcon へのデジタル系電源を別途切り替える必要が生じて、充電コントローラメイン基板をまたもや作り直し(三度も作り直してくれた I さん、ありがとう)、


図 作り直した充電コントローラメイン基板


  • 充電コントロールプログラムの修正作業中に、充電用の AC アダプタ(5 V)を接続する DC ジャックにパソコン用(19 V)を挿し込み、DC-DC コンバータから煙がモクモク・・・。さすがに焦り、

  • 全滅した DC-DC コンバータと、焼け焦げたソケット(幸い、被害はそれだけだった)を交換して、

  • MUSES 05 に載せたデッドマスは、基板にピンを立てて挿してあるので倒れはしないが 5 mm 角の IC の上ではすぐに傾くので、


図 ちょっとしたことで傾くデッドマス(気分がよろしくない)


  • 気分がよろしくないから、ジュラコン製のホルダを作って、


図 デッドマスとホルダ


  • デッドマスを載せてホルダを挿して、デッドマスは互いに支えあって、しっかりと立っていることを確認して、気分はよろしくなって、


図 デッドマスを載せた MUSES 05(右)とMUSES 72323(左)


  • DC-DC コンバータのデータシートには「放熱空間を確保せよ」とあるので、触っても「生ぬるいかな」くらいだったけど、銅箔テープを折り曲げて DC-DC コンバータの下に敷いて、折り曲げた先をヒートシンクに貼り付けて(バッテリーには貼っていない)、DC-DC コンバータはぜんぜん暖まらなくなり、


図 DC-DC コンバータの下に銅箔テープ製ヒートシンク


ようやく完成しました。長かった・・・。


図 完成目前。あとは上蓋のネジを止めるだけ



 これくらい長くかかると、完成しても「やった~」という高揚感はありませんね。「やっとできたか・・」と思うだけです。

 でも、完成したからには聞きます。我が家の EVR-X と入れ替えても、いい感じです。気持ちよく鳴ってくれます。静かです。さすがはバッテリー。安心して聞いていられます。


 いつもいつも同じことしか書いてない気がするのですが、語彙が乏しくてすみません、またもや書くのですが、透明感がさらにアップして細かいところまでハッキリと聞かせてくれます。

 「いままで聞こえなかった音が・・・」なんて表現が、3, 40年前のオーディオ雑誌では踊っていましたが、新たに聞こえるようになった音なんてありません。すべて聞こえていた音なのですが、それらがスッと鮮明になった、というか音と音の間がより磨かれて、グッと静かになった、そんな感じです。

 失敗であった元々の状態とは比較になりません。「痩せたギスギスした音」は電源ラインへのデジタル系電流混入が元凶だったのでしょう。きれいさっぱり、ノイズと共に消えてなくなりました。


 ただ、左右共通電源です。EVR-X と比べると、左右の空間の広がりというか、充実度は劣ります。それでも、楽器それぞれの音は、よりピュアに聞こえます。空気が澄んで、よりクッキリと見えるかのようです。


 これは、電源を左右に分けるしかないな。ここまで鳴ってくれているのですから。




 バッテリードライブを試みたい方がいらっしゃいましたら、メールにてご連絡ください。


記事はこちら。S君の試聴記はこちら


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