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MVR(マルチ・チャネル・EVR)が戻ってきた

更新日:2022年1月17日



AEDIOさんに頼まれて2台を作ったMVRですが、その2号機が輸送中に損傷したとのことで戻ってきました。8年ぶりです。それなりの衝撃が加わったのでしょう。アルミのケースには凹みが・・・。これは、交換するしかありません。


ケースを交換するとなると,すべてを取り外して付けなおしです。ケース底板にも加工が必要です。それなら、真鍮シャーシを入れたくなります。真鍮シャーシはEVR-3 type Ⅱヘッドホン・アンプから採用しましたが、一度使うと止められません。アルミに比べて比重3倍の効果でしょうか。ガッチリと地面に立つような音像感を聞かせてくれます。


それにWBT の RCA ジャックがずらりと、16個も並んでいます。お値段は恐ろしく高い品です。よくまあ、こんなモノを作ったものだ、と我ながらあきれてしまいます。


でも、値段が高くても使いたい理由はありました。プラグジャックやロータリスイッチはハンダ付けの音と比較して選びますが、このWBTのジャックは、私の試した限り、もっともハンダ付けに近い音を聞かせてくれたものだからです。


ただ、このWBTがペラペラなアルミパネルに並べられたのを見ると、真鍮サブパネルが欲しくなります。真鍮サブパネルも、一度使うと止められません。これだけのジャックなのですから、よりよい再生音を聞かせてもらいたい!



また、MVR は type-Ⅱにバージョンアップ前の EVR-3 で組み立てています。これにも真鍮プレートを取り付けたい。type-Ⅱにしたとき、もっとも音に効いたのが真鍮プレートです。本音をいえば、段間にもプレートを入れたい。ですが、構造上これはできません。それでも、両側からサンドイッチしてやりたい。


「この8年間のノウハウをプラスαしたい。少しは音もよくなりますから」との製作者の希望をオーナー様に伝えると、「よろしい」とのお返事を戴きました!


以下、“MVR改”です。


MVR本体は、3t の真鍮プレートでサンドイッチしました。単体のEVRなら、アナログボードが真鍮プレートにスペーサ止めされるのでよいのですが、段間を重ねると、プレートの効果は薄まります。ですので、両サイドをプレートとして、そのプレート間を4本のM3スペーサでつなぎ、MVRをしっかりとホールドします。



リア view です。パネル側とリア側、それぞれの真鍮プレートを、10 mm角の垂直取付ブロックを用いて真鍮シャーシに固定しています。このシャーシに固定するのがミソです。しっかりとしたベースに固定できれば、それだけ音像のクリアさがアップします。



リアパネルにも真鍮3t のサブパネルを取り付けて、それにWBTジャックを取り付けました。WBTであっても、取り付けるパネルによって音が変わりました。できるだけ重い,頑強なプレートに取り付けたいところです。


このジャックは、スペーサを入れ替えれば、最高6t のパネルにも取り付けられます。それに、ケース内側から挿入して,外側からリングで固定する構造です!これが、ありがたい。配線を取り外さずに付け替えられました。



電源トランスは、Lアングルに取り付けてからケース下カバーに取り付けていました。これは、下カバーへの加工を減らすためでした。ここでは真鍮3t シャーシを使うのですから、穴加工を減らす必要はありません。直付けにしました。まあ、この変更は、音には関係しない。


細かな話ですが、スイッチランプもアナログ電源系統から分岐させていたものを、AC 100 V から直列抵抗を介しての点灯に変更しました。これも音には関係しなかったのですが、配線はスッキリとして気分的によろしい。



全体写真はこちら。


フロントにもサブパネルをエポキシで接着して、そこにネジを切ってEVR-DISP1を取り付けました。ここも音には関係しません。ですけど、UCケースパネルのペラペラ感がなくなって、気分的によろしい。あとは、整流ダイオードも交換したいところだったのですが、基板の手持ちがなく、時間を要するので見送りです。まあ、ここはERC-84-009が入っています。ファーストリカバリらしい透明度の高い音を聞かせてくれるダイオードです。よしとしましょう。




組み直して、オシロスコープで動作確認。問題ありません。


最後に、確認の試聴です。作業しながら鳴らしていたセレクタEVR(じつは、改造中)からつなぎ替えて音を出すと、音色はそっくり。そりゃそうだ。同じ人が作ったのだから。


さすがに電子ボリュームICが MUSES 72320 から MUSES 72323 にバージョンアップされ、オペアンプも MUSES 02 から MUSES 03 に換えた差は聞こえます。ただ、MVRはは左右独立電源トランス構成としていますので、左右の音場感はよい。セレクタEVRは左右を分けていませんので、MUSES 02 同士であればMVRのほうが優るかもしれないと感じます。


8年ぶりの記憶との比較ですが、真鍮シャーシとプレートによって、それぞれの音源が,よりはっきりと聞こえるようになったと感じます。ずっと聞いてきた感覚ですので,間違ってはいないでしょう。


私自身は,今後もマルチアンプにはしないと思います。ですから、MVR-323を作ることはないでしょうが、EVR-323は、このように段間を重ねなくてもMVR構成にできるようにしてあります。お試しになりたい方がありましたら、どうぞ、ご連絡ください。




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