20年来の宿願でした。
信号を切り替えるだけなら、難しい話ではありません。どこのメーカーのアンプにも搭載されている機能です。問題は「音質劣化なく」です。
安価な機種には、半導体スイッチが使用されています。ところが、試したFETやアナログスイッチ、フォトリレーは、例外なく、ディテールを均一化したような、のっぺりとした、痩せ細った音を聞かせてくれました。使いたくありません。
半導体スイッチの音がよくないことは、メーカーもわかっているようで、高級機にはリレーが使用されています。某社のHPには「P社の高音質リレーはロータリスイッチを超える音」とありましたが、その品種を含め、試した限り、セイデンのスイッチとは比較になりません。どこのロータリスイッチと比べたのでしょうねえ。リレーの接点を通過させると、半導体スイッチとは違った傾向に音痩せします。カサつくような、うるおいを失ったような音です。これもまた、使う気にはなれません。
ちなみに、比較の際にはRCAピンで差し替えて試聴しています。比較対象とするデバイスにも、同じRCAジャックを取り付けます。しっかりとしたピンジャックでの音質劣化は、並のロータリスイッチよりは小さい。ロータリスイッチで切り替えての比較も可能ですが、同種の音にマスクされて判断を誤る可能性を嫌いました。
写真は比較用の基板例です。ちなみに、c接点リレーには normally open と noramlly closed 接点があります。normally closed 側はバネ機構で押さえ、normally open 側は電磁力で押さえますので接触圧の違いが聞こえるかな、とも思って、両方の接点からジャックを引き出しました。結果から言いますと、このリレーでは差は感じられませんでした。
もう一つ余談ですが、使っているモガミ・ネグレックスのRCAジャックは、信号側だけでなくGND側にも電線を半田付けできます。一般的なGNDリングを締め込むタイプよりも接点を少なくできますので、それだけ透明感に優る音ですし、比較テストにも向いています。
以前には、リレーの音の悪さも基板をしっかりとサポートすれば改善できるかもしれない、と考えて、真鍮パネルを付けて試したこともあります。
結果は、聞いた瞬間、お払い箱。
このリレー、接点を通すとガリガリに音痩せすることはわかっていました(ですのでEVRのショックノイズ防止回路では出力ショーティングとして、接点に信号を通さないように使いました)。その音が、そのまま聞こえます。やはり、ロータリスイッチでなんとかしたい。
ロータリスイッチでなんとかするなら、軸を回すしかありません。じつは、これが当初のアイデアで、マブチのモータで試しました。20年以上前のことです。ですが、当時はワンチップマイコンが限られていたこともあってコントロール回路を作るのが難しく、タミヤのギヤでは大きくなりすぎることもあって、挫折しました。
でも、今では、小型のサーボが安く手に入ります。サーボなら、回転角制御をしなくても、オープンループで動かせます。それなら、ロータリスイッチの軸をサーボで回してやろう。そう考えて、こんな試作もしました。
結果は、動きました。音は、最高です(当然です!セイデンのSD-45ですから)。手でも動かせ…、ます。けれども、サーボがつながっているとメチャクチャ重い。つまみを付けても、かなりの力を入れないと回りません。
それなら、サーボで動かさないときはギヤを離してやろう、とも考えましたが、切り離すメカを作れませんでした。
で、軸を手で回すことは諦めました。開発途上バージョンはこちら。
スムーズに動いています!
初期設定の方法はこちらをご覧ください。