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Toshiyuki Beppu

整流ダイオードをみつけた

更新日:2023年3月18日



 シリコンカーバイドのショットキーバリア・ダイオード(SiC-SBD)の聞き比べは、手こずりました。SiC はシリコン(Si)に比べてリカバリ時間が小さいためか、音の差が小さい。それでも、くり返し聞いているうちに「傾向があるなあ」と感じてきました。


 イチオシは、Wolfspeed(旧 Cree)社 C3D08065E とします。650 V, 8 A です。ただし連続順電流 8 A は、ケース温度 Tc = 155 ℃ での条件です。これが 135 ℃ なら12 A。一般的な定格の Tc = 25 ℃ なら 25.5 A です。電流密度が大きく高温特性に優れるのが SiC です。でも、アンプでそんなに流すことはないでしょう。比較した14品種の中で、もっとも響きを美しく、色彩感豊かに聞かせてくれた SiC-SBD です。


 イチオシ’は、GeneSiC社の GB01SLT12-252 です。定格は 1200 V, 1 A。ちなみにG社の連続順電流はケース温度 Tc = 168 ℃ での数値です。まあ、168 ℃ でも155 ℃ でも、そんなに熱くすることはないでしょう。Tc = 100 ℃ なら 4 A 流せます。SiC は順方向降下電圧が大きい(IF = 1 A, Tc = 25 ℃ にて1.5 V typ.)ので、1 A 流せば 1.5 W もの発熱となりますが、それでも基板の銅箔面積を2~3 cm2 以上確保すれば問題ありません。平均順電流 1 A なら DC 電流 2 A ですから、(私は作ることはありませんが)A級パワーアンプでも 20 W くらいまでなら使えます。響きのよさはイチオシと同等。ちょっとだけ高域が固いかな、と感じましたのでダッシュ(’)を付けます。


 ニオシは、Wolfspeed社 C3D04060E(600 V, 4 A)と C3D04065E(650 V, 4 A)、それと GeneSiC社 GE04MPS06E(650 V, 4 A)です。白状すれば、W社の2種の違いは私にはわかりません。イチオシと比べて、よく言えば落ち着いた渋いサウンド。わるく言えば響きの寂しい感じがあります。ですが、わずかの差です。G社の品は、同社イチオシ’とよく似たサウンドです。ですけど、ちょっとだけ薄いかな。と感じるのでニオシとします。どちらも、W社の品と比べて明るいというか、音にツヤを感じます。

 ニオシとしましたが、いずれもイチオシと比べて、クオリティ差を感じるほどではありません。例えて言えば、MUSES 02 と MUSES 8820 の音質差、あるいは NS-2B と 1/4 Wカーボン抵抗の音質差の -40 dB くらいでしょうか。これらなら、A-B とイントロを聞いただけで区別は付きますが、イチオシとニオシでは、ワンコーラスを A-B-A-B-A-B-A-B と聞いてやっとわかるかな、くらいの差です。その上に、音の傾向はつかまえても、どっちが良いのかの判定には迷いました。最終的に、よい感じのモノを相互に総当たりで比べて決めましたが、それくらいの差です。


 ところで、現用の Rohm社 SCS206 は TO-220 パッケージです。これも、表面実装基板に無理矢理載せて比較しました。



 音の傾向は、ニオシのW社と似ています。が、ちょっとだけ高域にクセがあるかな、と感じます。それよりも、ケミコンを横に取り付けるのなら TO-220 よりは TO-252 が実装しやすい、との表向きの理由から、本当のところは SiC-SBD の聞き比べはもうやりたくないので TO-220 の比較を回避します。


 TO-252 サイズのダイオードでセンタタップ整流するための基板を作りました。もちろん、プラスとマイナスのどちらにも使えます。



 この基板(SK-C35 ver.2)を使えば簡単に高音質の整流回路を組めます。便利です。ご採用ください m(..)m


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