長い長い道のりでした。バッテリー駆動パワーアンプ、パラレルワールド7が完成しました。
振り返れば、予備実験からは1年と10ヶ月。バッテリードライブの音に可能性を聞きだしたものの、6個直列のバッテリーをどうやってバランス充電させるかに悩みました。もっとも簡単な手は、それぞれのバッテリーに充電器を接続する方法です。この手にしておけばよかった、とあとからは思います。38個の充電器と76個のフォトスイッチを並べれば、それで完成できたはずです。
ところが、そうはしなかった。悔やまれる。で、6個まとめて充電するバランス回路の試作に失敗しました。
その後、定電流で充電してバッテリーには個別の電圧リミッタを接続する方法に取り組みました。基板を試作して、バラックでの動作確認に至ったのが10ヶ月前。アンプ基板を作り、音出しすると、可能性は現実へと大きく近づきます。
アンプ基板に真鍮ベースを接着したのが1月。その時点で「もうすぐ完成だ」と思っていたのですが、その後つぎつぎと不具合が出現。ということは6ヶ月もの間、充電回路で四苦八苦していたのですね。技術力不足を痛感します。
真鍮ベースを取り付けてからは、アンプ基板に変更はありません。したがって、音は『発振を止めたので音を語ろう』に記したときと同じはずです。ところが、完成機を聞いていると、より透明度がアップしたかのように感じます。
とにかく、余計な音がしません。声にも楽器にも、付帯音がありません。それだけナチュラルな響きを楽しませてくれます。アタック音も摩擦音も、直接音も残響音も、です。聞いていて不満を感じません(いまのところ(笑))。
でも、この姿。アンプというよりは、バッテリーのオバケですね。
アンプの部分は、左側 1/4 の、奥側の 2/3。体積でいえば 1/6 くらいかな。フィルムコンを小さくしたのがちょっと心残りですけど、載せるスペースがない。それでも、30μF の ASC X335 を投入したパラレルワールド4と比べて、楽器それぞれの音色をよりハッキリと、さらにリアルに、聞かせてくれます。
このパラレルワールド7、パラレルワールド6とまったく同じアンプ回路です。どちらも MUSES 03 の12パラ。違うのは、
電源:バッテリーか、電源トランス+電圧リミッタか
基板:真鍮基板か、2t エポキシか
です。厳密にいえば、
キャパシタ:MKP1840 の1.5μF か、X335 の5μFか
入力端子:WBT0210CU か、モガミ・ネグレックス 7552 か
信号系の配線:BEL-RBT20276 の芯線か、UL3265 か
ケースの大きさとバッテリーがいっぱい載ってる分の重さ
も異なっています。
以上の6項目それぞれの音の差は、個別に試聴しています。その上で断言できますが、もっとも効くのは上の2項目です。
でも、すべてを合わせた音は、記憶の中でしか比較できません。パラレルワールド6が居座っている友人宅に持ち込みます。
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