バッテリー充電回路の構成
- Toshiyuki Beppu
- 2022年3月26日
- 読了時間: 4分
更新日:2022年9月11日

開発(難航)中のバッテリードライブ・アンプでは、チャネルあたり3系統の6直列バッテリーで3枚のアンプ基板をドライブします。充電回路構成を以下に示します。1系統の電源トランス(その後ACアダプタに変更)から3系統のプラスとマイナスの3直列バッテリーを充電します。系統ごとに電流リミッタ回路を使用して充電電流を制限します。また、充電の ON/OFF には、それぞれの系統ごとにフォトリレーを用います。系統ごとにバッテリーの充電状態を管理するためです。一方、アンプの ON/OFF にはリレーを用いました。ここをフォトリレーとしたのでは、若干ですが、平板的な音となったためです。

電流リミッタ回路を以下に示します。回路は簡単です。プラスとマイナスそれぞれに1個の NJM317 と1本の抵抗です。この回路では、抵抗での電圧降下が317のリファレンス電圧(1.25 V)と等しくなるようにコントロールされます。鉛バッテリーでは充電電流を大きくすると寿命が減少します。このため、定格容量に達するまでに20時間、たとえば容量 1 Ah であれば 1/20 A 以下の充電電流とします。使用したバッテリーは容量 4.5 Ah ですから抵抗を 5.6Ω として、充電電流を 223 mA 以下に制限しました。

『バッテリーは、まとめて充電しないと面倒だ』で述べたように、それぞれのバッテリーには電圧リミッタ回路を並列接続しています。電圧リミッタ回路を以下に示します。NJM1431 を使用したシャント・レギュレータです。設定電圧に達したときに充電電流をシャントします。ただし431レギュレータの最大電流は 100 mA しかありません。加えて、消費電力的にも 6 V ×100 mA の発熱には耐えられません。そのため、PNPトランジスタを用いてシャントさせています。電圧が高くなって431レギュレータのシャント電流が増えれば、R3での電圧降下も大きくなります。この電圧はトランジスタのVBE(ベース・エミッタ間電圧)ですから、エミッタ電流、すなわちシャント電流も大きくなります。
また、電圧リミッタ回路自体にも電流消費(R1とR2の直列回路と431のアイドリング電流)があります。つなぎっぱなしではバッテリーを消費させてしまいますので、フォトリレーを用いて待機時はカットさせます。

ところで、充電完了時にカットさせるためには、充電完了の検出が必要です。そのため、トランジスタのコレクタ側に抵抗 R4 を入れて充電電流が設定以上に、すなわち R4 での電圧降下が431のリファレンス電圧(2.465 V)以上となったとき、を検出させています。

431を2個必要とするのが嫌でしたが、どのみちバッテリー電圧の低下を監視するためにも電圧リファレンスは必要となります。バッテリー電圧をR6 と R7 で分圧して、これがリファレンス電圧以下となったときを検出します。

電圧リミッタ回路の電位は、バッテリーごとに異なります。ですから、充電完了と最低電圧の検出信号はフォトカプラを用いてマイコンにインタフェースします。以上の回路をバッテリーに載せました。

さて、バッテリー最低電圧と最高(充電完了)電圧をどうするか。
バッテリーとアンプの間にシリーズ・レギュレータを用いれば構成は楽なのですが、レギュレータの音色が加わります。せっかくバッテリーを使うのですから、それは避けたい。かといってシャント・レギュレータでは、充電したエネルギーの過半が熱に変換されます。別府式の電圧リミッタも同様。いずれも連続使用可能時間を短くします。
一方、バッテリーから直接 MUSES 03 に接続するとなると、絶対最大定格 ±19 V を超えないようにしなければなりません。充電完了時に 19 V とするためには、バッテリー1個あたりでは 6.33 V です。
そこで、最高電圧 6.3 V、最低電圧 5.6 V として試しました。ところがこの条件では、音量にもよりますが、4時間ほどで最高から最低電圧まで下がります。おそらくは、40 %ほどしかバッテリーは充電されていないのでしょう。充電電圧を上げて、充電を止めてからバッテリー電圧が下がるのを待つ手も考えられますが、その間はアンプを使えません。これでは不便です。かといって、これより大きなバッテリーにしてはケースに入りません。
どうするか、と3週間くらい考えました。ところが、意外なことからこの問題は解決します。続きはこちら。