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トランジスタの音の違い 2SA950と2SC2120編

更新日:2022年1月17日



EVR-323/320の定電圧回路には、東芝2SA950と2SC2120を使用しています。このペア、TO-92パッケージにもかかわらず、 800 mA ものコレクタ電流を流せます。ダイナミック形のヘッドホンをドライブすると、パッケージからは意外な豪快なサウンドを楽しませてくれます。なかなかのペアです。


2SA950 / 2SC2120は、電圧安定化回路の電圧制御用に用いています。このトランジスタは、アンプの音質に大きな影響を及ぼします。なぜなら、すべての増幅素子への電流がこのトランジスタを通るからです。ある意味、すべての素子に、このトランジスタの音が覆い被さるようにも感じられます。



残念ながら、東芝の 2SA950 / 2SC2120 は既に廃品種です。でも、個人的には心配していません。EVRは細々としか売れませんから、部品箱の中には10年分くらいのストックがあります!10個ではありませんよ。


ところが、さすが秋月電子!

中国製のセカンドソースを扱ってくれています。しかも、オリジナルよりも安い!


写真にオリジナル(左)とセカンドソース(上)を示します。いまのロットでは、文字が縦になっているか横になっているかで区別できます。写真をみて気づきましたが、東芝はAとCで文字の色が違ってますね。



どちらのメーカーのペアも、足は磁石にはくっつきません。


さて、音はどうか。


セカンドソース品には、オリジナルの設計を買ってきて作るモノと、リバースエンジニアリングによってマネて作るモノとがあるそうです。ただし、できあがった構造からでは、それを作るためのマスクやレシピを、結局のところ再設計することになります。さらに、製造には細かなノウハウがあるために、まったく同じ特性のものを作るのはほとんど不可能とのことです。アナログICでは。


中国製の 2SA950 / 2SC2120 は、私の推測ですが、オリジナルの設計を入手したものと思われます。なぜなら、じつによく似た音がするからです。同じメーカーの同じ銘柄のトランジスタがロットによって音が違うことも経験していますし、同じ型番の5534がシグネティクスとTIとNJRでまったく別の音になることも経験していますが、別のメーカーとは思えない。


ちなみに、比較はEVRの定電圧回路で行いました。タイトル写真に示したEVRのバージョンアップ(トラブル改修ともいう)によって無駄になった基板に組んで(廃品利用ともいう)差し替え試聴しました。


さて、音です。


「同じ型番だけあって」と述べるべきか、「異なったメーカーにもかかわらず」と述べるべきか、それが問題なのですが、よく似た音です。


細かいことをいえば、中国製は、バランス的にハイ寄りというか、中高域が強くて低域の響きが弱いようにも感じられます。それでもハイ上がりというほどではありません。よくよく聞けば、中高域にクセがあるために、他の響きがマスクされたようにも聞こえます。そのため、いささか平板的に感じられます。したがって、オリジナルのほうがクッキリとした感じを受けます。が、大きな差ではありません。中国製もよいペアです。


これは、ちょっと驚きの体験でした。


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