コンサートが好きで、機会があれば出かけています。とはいえ、なかなか感動できる演奏には巡り会いません。まあ、2,30回に1回でしょうか。「おまえプロだろ。そこで外すなよ」なんてこともしばしば。正直にいえば、コンサートを聞いている間に「帰ってCDで聞きたい」と思うこともあります。それでも、中には強烈な印象となったものもあります。20年も、30年も前なのに、はっきりと感動を覚えています。
さて、コンサートには「録音再生の音」はありません。生の音と再生音は別物です。録音再生には、マイクの音、アンプの音、A/D, D/Aの音、伝送ケーブルの音、そしてスピーカの音、などなど、いろいろな電気機械音が付加されています。それらをなくすことはできませんが、できるだけ、気にならなくしたいところです。
録音側のマイクやアンプ、A/Dや伝送系、イコライジングやノイズシェーピング、古い録音であればテープやディスクの音、は諦めるとしても、再生側で手を尽くせば、かなりは良くなります。まあ、そこだけが我々が手を尽くせる範囲なのですが。
再生側で、もっとも問題なのは、スピーカでしょう。
スピーカはそれぞれに固有の音を出します。クラシックであれジャズであれ、その固有音を再生音に付け加えます。ヴォーカルにも、ヴァイオリンにも、ピアノにも、演奏会場の拍手にも、その固有音を付け加えて音色を変えます。
もっともたちが悪いのは共振音です。たとえば打楽器は、たたいた瞬間の衝撃音に続く共振音が音色を作ります。ティンパニーなのかシンバルなのかトライアングルなのかお寺の鐘なのか、共振音がなければ区別は付かないでしょう。その共振音に別の共振音を付け加えれば、音色は変わります。スピーカの周波数特性を補正するシステムが例外なく音色を損なうのは、別の(電気的な)共振音を付け加えるからです。
音源位置の差も、音色に大きく関わります。クロスオーバー・ネットワークのレベルを固定していても、トウイータとウーファの距離差で音色は変わります。もちろん、聞こえる方向の違いも、定位だけでなく音色にも影響します。
クロスオーバー・ネットワークも重要です。-12 dB/oct. 以上の遮断特性を持つネットワークに過渡的な信号を入れると、波形はめちゃめちゃになります。そのネットワークの音が、人に聞こえないことはありません。連続波だけで考えているから、そこにひずみがあることに、気がついていないだけでしょう。
スピーカ・システムは、どのようなソースにも同じ固有音をつきまとわせるために、音色をわからなくして、定位を不明確にして、音場を広がらなくして、さらに、音楽を楽しめなくするのです。
これらの固有音を減らすための方策が、ユニウェーブスピーカです。