25年以上前の記事のアップを始めました。
どこかで記したかと思いますが、それ以前の私はスピーカの“マルチウエイひずみ”に悩まされていました。そんな症状は、どこの雑誌にも書かれていませんでしたから、かなりレアなのでしょう。でも、患者にとってはつらいものです。どこのスピーカシステムであっても、トゥイータとスコーカとウーファから別々に音が聞こえてしまうのです。たとえばチェロはウーファとスコーカから、フルートはスコーカとトゥイータから、それぞれ別の音源があるように聞こえて、とても音楽を楽しむどころではありません。
でも、どこにもそんなことは書かれていないので、自分のシステムが調整不足に違いないと思い込み、六畳間で38 cmウーファとホーンスピーカと格闘していました。
音源が分かれるのは、音の出てくる方向が異なることが原因かと考え、(ウーファとホーンを売ったお金で)BBCモニタとして著名な小型2ウェイを買いました。ところが、これもまた、トゥイータとウーファから別々のピアノが聞こえてしまい、鳴らしたくもありませんでした。
4ウェイでありながら、“マルチウエイひずみ”を感じさせることなく楽しませてくれたのが高橋和正氏のシステムでした。-6 dB/oct. ネットワークによる帯域分割と徹底的な音源位置合わせ。氏のシステムは、音源を分けることなく、リアルな楽器の雰囲気を感じさせてくれました。
おもしろいことに、トゥイータの音源位置をずらして聞かせていただくと、あの雰囲気は激減します。トゥイータが後方に下がるときはそれほどでもないのですが、前方に出てくると、つまりふつうのメーカのシステムと同じような前後位置関係になると、微妙な空気はぶち壊されます。
話を重ねるうちに、それぞれのユニットからの音波が干渉しているのではないかとの疑問が湧き上がり、単発サイン波測定を思いつきました。20万円以上したデジタルストレージのオシロスコープを買い、単発サイン波を出せるファンクションジェネレータ(これも20万円近くした)を借りてきて試したところ、聴感上の前後のベストポジションは、トゥイータとウーファからの音が同時に到達するポジションであることが“見え”ました。
氏のシステムは当初、「リニアフェイズ」といわれていましたが、単発サイン波測定を重ねるうちに、位相(フェイズ)をあわせようとしているのではなく、音の波面を合わせようとしてることに気づきました。そこでシステムも「ユニウェーブ」と称することになりました。
その後、ユニウェーブ・スピーカを自作してから25年、私もスピーカで音楽を楽しんでいます。(楽しんでいるから進歩がないのですけど)。
古い記事ですが、ご笑覧ください。